【ゴルディロックスゾーン】とはどういう意味か英語ではGoldilocks zone
ゴルディロックスゾーンとは
ゴルディロックスゾーンは宇宙の中では地球など生命が存在できる区域のことをいう通称である。狭い意味では恒星の周辺で十分な大気圧があり惑星の表面に液体の水が存在できる範囲をいう。一般的には広い意味でハビタブルゾーン(Habitable zone:HZ)という。
ハビタブルゾーンの概念はドイツの物理学者フーベルトゥス・シュトルクホルトによって1953年に初めて示され提唱された。ゴルディロックスゾーンと呼ばれるようになったのは1970年代になってからである。
ゴルディロックスゾーン(Goldilocks zone:GZ)の語源
ゴルディロックスゾーンはゴルディロックス+ゾーンになる。ゾーンは地域・地帯・区域という意味であるがゴルディロックスはさらにゴルディ+ロックスの組み合わせの言葉になる。
ゴルディは「Goldy:黄金色の」という意味になり、ロックス(Locks)は錠前の意味もあるが束ねてある髪、髪型のことも意味する。
イギリスの有名な童話「ゴルディロックスと3匹のくま」に登場する、金髪をポニーテールのように束ねた女の子の名前がゴルディロックスで、その女の子は物語の中で熱くもなく冷たくもなく「ちょうどいい」お粥を食べ、「ちょうどいい」大きさの椅子に座り、「ちょうどいい」大きさのベッドで寝た。
そこから「ゴルディロックス」は「ちょうどいい」意味で表現されるようになった。生命が存在するのに「ちょうどいい」範囲がゴルディロックスゾーンである。
ちなみに「ハビタブル」は生息する、住む、という意味のラテン語のhabereから派生した「居住に適した」という意味になる
具体的なゴルディロックスゾーンの範囲
生命が存在するのにちょうどいいゴルディロックスゾーンまたはハビタブルゾーンは、恒星からの距離と恒星から受ける放射エネルギー量によりある程度判断される。太陽系では大雑把にいうと地球の周回軌道あたりから火星の周回軌道あたりまでをいう。
だから人類は次の住処として火星を目指している。
宇宙には生命が存在するために「ちょうどいい」範囲が他にもある
太陽以外にも宇宙には多くの恒星が存在していて、その恒星が放つ光と放射エネルギーによりゴルディロックスゾーンができている。
一つの銀河で約1000億以上の恒星が存在しているといわれ、その銀河が約1000億以上もあると考えられているので、人類が観測できないところに無数のゴルディロックスゾーンが存在していると思われる。
現在わかっている中でとくに興味深いものは赤色矮星のティーガーデン星やTOI-700、太陽に最も近い赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリやTRAPPIST-1、ケプラー186、などが作り出すゴルディロックスゾーンがあげられる。
ちなみに赤色矮星とは太陽のように自ら光り、エネルギーを発しているが、太陽ほど体積、質量、明るさ、エネルギー放射が大きくない。太陽の表面温度が約6000℃といわれるのに対して赤色矮星で温度が低いものは約1700℃以下のものもある。
太陽系外でのゴルディロックスゾーンにある惑星ベスト3
太陽系以外にもゴルディロックスゾーンがあり、そこには地球によく似た惑星が存在することがわかっている。これは地球類似性指標(Earth Similarity Index: ESI)という数値で惑星の半径、密度、表面温度など様々な条件から計算され表せられる。その中でも注目したい現時点での上位惑星ベスト3を記す。
第1位:ティーガーデン星b
ティーガーデン星bという惑星は今のところ太陽系以外の惑星で地球類似性指標が最も高い惑星である。太陽系のある天の川銀河の2倍以上の大きさのNGC772銀河にあるとされ星座でいうところの「おひつじ座」の方角にある。2019年にスペインのカラル・アルト天文台のCARMENESという観測機器により発見された。中心の星はティーガーデン星という赤色矮星で太陽からは約12.5光年離れているが、距離的にはもっとも近い部類に入る。質量は地球の1.05倍で液体の水、または海が存在する可能性がある。
第2位:TOI-700 d
今のところ地球類似性指標が2番目に高いTOI-700 dという太陽系外の惑星は、地球からかじき座というあまり聞き慣れない星座の方向に約100光年離れた位置にある赤色矮星のTOI-700を公転している。2020年にNASAが打ち上げた太陽系外惑星探索衛星TESSによる観測データから発見された。
直径は約15000kmと地球の直径約12700kmより少し大きく、地球の約1.7倍の質量である。表面温度は約-4~22℃であり大気や水が存在している可能性が高く、生命がいるかもしれない。今後の調査に期待したい。
第3位:ケプラー1649c
ケプラー1649cは地球からはくちょう座の方向に約300光年はなれたケプラー1649という赤色矮星を公転している惑星である。NASAが打ち上げたケプラー宇宙望遠鏡の観測により2020年に発見された。直径は約13500kmと地球とだいたい同じくらいの大きさである。表面温度は約-39℃であり水が存在する可能性もあるが、主星のケプラー1649がとてもエネルギーの大きい恒星であり太陽フレアのようなエネルギー放射が激しく大気も吹き飛ばされている可能性がある。
太陽系外で地球からの距離がもっとも近いゴルディロックスゾーン
今のところ地球に最も近い場所にあるゴルディロックスゾーンに存在するのが、太陽系外惑星であるプロキシマ・ケンタウリbであり、地球からケンタウルス座の方向に約4.2光年の位置にある。2016年ヨーロッパ南天天文台の観測により発見された。
直径は約13000kmで質量は地球の約1.2倍、表面温度は約-39℃で地球によく似た惑星の部類にはなるが、主星のプロキシマ・ケンタウリが強烈なエネルギー放射によりプロキシマ・ケンタウリbには地球の400倍ものX線が降り注いでいると考えられる。
ゴルディロックスゾーンのまとめ
・ゴルディロックスゾーンという言葉はイギリスの有名な童話に登場する女の子の行動「ちょうどいい」から付けられた通称で、一般的にはハビタブルゾーンと呼ぶ
・大気や水があり生命が存在する可能性がある範囲をいう
・太陽系以外にもゴルディロックスゾーンはたくさんあり地球に似た生命が存在するかもしれな惑星は多く見つかっている