【ロケット打ち上げに成功した国】これまでに単独で成功したのは13カ国

ロケット打ち上げに成功した国

人類が火星移住を目指して日々ロケットの開発、打ち上げを試みているがこれまでのところ、ロケットの打ち上げに成功した国はどのくらいあるのだろうか。またこれからロケットを打ち上げる予定のある国についてもまとめていきたいと思います。ロケット打ち上げは地球の周回軌道以上への物体の送り込みとします。

ちなみに地球周回軌道とは~

月や人工衛星のように地球のまわりを周回する軌道のこと。今までに16000以上もの物体が打ち上げられ、その後多くが大気圏突入で消滅しているが6000以上がスペースデブリ(宇宙ゴミ)になっている。飛んでいる高さにより、高度160km以上で低軌道、中軌道、高軌道と分かれる。

ロケットの打ち上げに成功した国(初めての軌道投入順)

ソビエト連邦

アメリカ合衆国

フランス

日本

中華人民共和国

イギリス

インド

イスラエル

ウクライナ

ロシア

イラン

朝鮮民主主義人民共和国

韓国

ロケット打ち上げに成功した国 その①ソビエト社会主義共和国連邦

1957年10月4日、世界で初めて人工衛星スプートニク1号を飛ばしました。発射に使用したロケットはスプートニク-PSという軍事用のR-7大陸間弾道ミサイルの技術を利用して製造されたものです。スプートニクとはロシア語で「衛星」という意味。この世界初の人工衛星の目的は電離層の観測と電波の広がりを確かめる実験でした。

電離層とは地球上の大気に存在する分子や電子が紫外線やエックス線などにより分離した領域のことです。電離層は電波を反射する性質をもつので遠距離通信などに利用できます。

アメリカとの冷戦時代に大変な衝撃を与えたためスプートニクショックとも呼ばれた世界初の人工衛星は役目を終えると1958年1月4日、大気圏に再突入して消滅しました。92日間の飛行となりました。

ロケット打ち上げに成功した国 その② アメリカ合衆国

1958年1月31日、アメリカが初めて人工衛星エクスプローラー1号を飛ばしました。発射に使用したロケットはジュノーⅠというアメリカ陸軍弾道ミサイルの技術を利用して製造されたものです。人工衛星のエクスプローラーという名称は「探検家」、「探検者」という意味ですが、車やパソコンなど身の回りのものにもよく使われております。ロケットのジュノーはローマ神話の「守護神」の意味もあることから、ロケットというミサイル技術の軍事利用イメージではなく将来の平和への願いが込められていると言われています。

ソビエトの打ち上げから約4か月後の発射ということからもアメリカの技術開発への気持ちが読み取れます。

アメリカの人工衛星の目的は科学衛星として主に宇宙線の計測でガイガーカウンターが搭載されていました。

宇宙線とは宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線です。主な成分は陽子で巨大な星の爆発やブラックホールから発生するガスと考えられていますがはっきりとはわかっていません。

ガイガーカウンターとはドイツ人のハンスガイガーとヴァルターミュラーが開発した放射線計測機器です。

人工衛星エクスプローラー1号は1958年5月23日までに電力がなくなりましたが、その後も軌道を周回して1970年3月31日に太平洋上に再突入して終わりました。

ロケット打ち上げに成功した国 その③ フランス

1965年11月26日、フランスが初めて人工衛星アステリックスを打ち上げました。使用したロケットはディアマンAというフランスミサイル開発管理機関とフランス国立宇宙研究センターが開発したものです。人工衛星のアステリックスという名前はなんとフランスの人気コミックシリーズの名称から用いられれたとか。「羽ばたく」という意味があるようです。ロケットのディアマン(Diamant)はフランス語で「キラキラ光る装飾品」「ダイアモンド」を意味します。打ち上げ計画も「宝石計画」という名称がつけられていたのでお洒落なフランス人のセンスを感じます。

フランスの打ち上げの目的は科学衛星の役割というよりも、ロケット打ち上げ能力の確認だったようですが、打ち上げ時のアンテナの故障でデータが受信されず詳細は不明のようです。

ロケット打ち上げに成功した国 その④ 日本

1970年2月11日、日本は初めて人工衛星「おおすみ」を打ち上げました。使用したロケットはL-4S 5号機になります。日本初の人工衛星打ち上げ計画の発案は東京大学宇宙航空研究所で製造は日本電気によるものです。「おおすみ」という名前の由来は発射の場所となった鹿児島県の南端の大隅半島からつけられました。

L-4Sロケットは1号機から4号機まではうまくいかず、ロケットが分離しなかったり、エンジンが点火しないといったトラブルも続き、当初の発案者の東大教授が計画から離れていったり、打ち上げ場近隣の漁業者から反対を受けたりと苦難続きでしたが、5回目の挑戦でみごとに打ち上げに成功しました。

日本の人工衛星打ち上げの目的はあくまでも純粋な技術試験であり、他の国が行ったような軍事技術の利用は一切ないという大きな特徴があります。そのため人工衛星おおすみ自体に主な役割があるのではなく、ロケットの最終段の部分自体がおおすみになっているという点でも他国と違いがあります。また通常ロケットにある誘導装置があると軍事技術とみなされるため、誘導装置のない無誘導ロケットという驚くべきものでした。誘導装置がなくどうやって打ち上げに成功したのかというと、尾翼による空気の影響とスピンモーターの稼働と停止のバランスで周回軌道にのせるという、ある意味すごい技術の賜物でした。

おおすみは軌道投入後は15時間ほどは電波を発していたようですが、その後通信は途絶えスペースデブリ状態で周回軌道上を約33年間も飛び続け、2003年8月2日、エジプト・リビア国境付近上空の大気圏に再突入して消滅しました。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑤ 中華人民共和国

1970年4月24日、中国は初めて人工衛星「東方紅1号」を打ち上げました。使用したロケットは長征1号というもの。ソビエトやアメリカの人工衛星打ち上げを知った毛沢東が提唱して計画がはじまりました。主な目的は人工衛星の技術試験と電離層などの観測ですが面白いのが音楽を配信できる通信機を搭載しており、毛沢東を称える歌が宇宙から配信されました。5月14日に通信は終了しましたが、その後も周回軌道上を安定して飛び、現在も飛行を続けていて5~8等級の光で観測できるということです。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑥ イギリス

1971年10月28日、イギリスが初めて人工衛星プロスペロを打ち上げました。使用したロケットはブラックアローR3という王立航空研究所の開発でミサイル技術を利用したイギリス最後の製造機種になります。主な目的は太陽電池の試験と流星塵の観測でした。

流星塵とは流星や隕石などが地球に突入した際にほとんどが燃え尽きるが、実際には目に見えないほどの微小な塵となって残っていて、絶えず地球に降り注いでいるもの。

2006年時点でもプロスペロからの無線伝播は確認されています。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑦ インド

1980年7月18日、インドは初めて人工衛星ロヒニRS-1を打ち上げました。使用したロケットはSLV(Satellite Launch Vehicle)でインド宇宙研究機関による開発です。ロヒニは「赤」という意味があり、感情的、ロマンティックという意味もあり、月の神様の妻という意味もあるそうです。月への意欲、または「赤」という火星までもイメージさせるところにインド魂を感じます。

目的は技術開発の促進と考えられますが、寿命は20か月ほどで何らかのデータを採取したと言われております。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑧ イスラエル

1988年9月19日、イスラエルは初めて人工衛星オフェク1を打ち上げました。使用したロケットはシャヴィトというイスラエル宇宙局の開発で、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)が製造しました。オフェクはヘブライ語で「水平線」を意味し、シャヴィトはヘブライ語で「衛星」を意味します。

主な目的は太陽電池と無線通信の実験です。

1989年1月14日、大気圏への再突入により消滅しました。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑨ ウクライナ

1991年9月28日、ウクライナは初めて人工衛星ストレラ-3を打ち上げました。使用したロケットはツィクロン-3という大陸間弾道ミサイルの技術を利用したものです。ストレラはロシア語で「矢」を意味し、ツィクロンはサイクロンのことで台風の意味。人工衛星の主な目的は通信衛星システムです。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑩ ロシア

1992年1月21日、ソビエトからロシアになってからの初めての人工衛星コスモス2175号を打ち上げました。使用したロケットはソユーズUという大陸間弾道ミサイル技術を利用したものです。ソユーズとは団結、同盟、連邦などの意味があります。約2か月の飛行のあと1992年3月20日、大気圏に再突入して消滅しました。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑪ イラン

2009年2月2日、イランは初めて人工衛星オミードを打ち上げました。使用したロケットはサフィールというイラン航空宇宙機関の技術開発によるものです。オミードはペルシャ語で「希望」、サフィールは「使者」「大使」という意味です。人工衛星の主な目的は通信衛星技術の実証で、現在も低軌道の周回軌道上を飛行している模様です。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑫ 朝鮮民主主義人民共和国

2012年12月12日、朝鮮民主主義人民共和国は初めて人工衛星「光明星3号2号機」を打ち上げました。主な目的は地球表面の自然観測や気象観測ということです。運用状況は定かではありませんが現在も周回軌道上を飛行している模様です。

ロケット打ち上げに成功した国 その⑬ 韓国

2022年6月21日、韓国は初めて人工衛星を打ち上げました。使用したロケットは「ヌリ」というもので、「世界」を意味します。韓国航空宇宙研究院の開発で人工衛星の主な目的は性能検証です。高度700kmの周回軌道上を飛行している模様です。

以上が現在の時点での世界のロケット打ち上げ成功の状況でした。

各国が苦労してきた経緯がわかり勉強になりました。

では。

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