【土星の探査】これまでに土星に接近して調査した宇宙探査機は4機だけ

土星の探査

地球の直径の9.5倍ほどの大きさの巨大なガスのかたまりである土星。地球からの距離も木星までの約8億kmの倍の約16億kmも離れているため探査の経緯も少ない。これまでにアメリカ合衆国のパイオニア11号、ボイジャー1号、2号、アメリカ合衆国と欧州宇宙機関とイタリア宇宙機関の共同事業のカッシーニの4機の探査機だけが土星探査を行っている。しかし今後土星の探査は多く行われていくことになるであろう。土星の環と呼ばれる小さい氷のかたまりの成り立ちや、付近の衛星、その他の現象について大変興味深い発見が相次いで出てきているのである。

世界初の土星探査 パイオニア11号

「木星探査の歴史」でも記載したアメリカ合衆国の惑星探査パイオニア計画の11号機であるパイオニア11号は木星をフライバイしたあと1979年に土星に到達している。土星表面の約21000kmまで接近すると、いわゆる土星の環を観測している。ちなみに現在土星の環は1960年にガイレオ・ガリレイが発見してから現在までに大きく7つに分かれるとされていて、内側から順にD環・C環・B環・A環・F環・G環・E環となっている。パイオニア11号はF環・G環・E環を観測している。

1995年に通信を途絶えたパイオニア11号は運用を終了したが、その後も宇宙空間を飛行し続けているものと考えらえれる。何かに衝突したり、捕獲?!されなければそのまま太陽系を離れてほかの太陽系外惑星へ向かうものと思われる。

パイオニア11号には地球外知的生命へ向けたメッセージとして、人類や太陽系を描いた金属板が取り付けられている。

ちなみにパイオニア11号の本体は六角形をしているが、偶然にも土星の北極には摩訶不思議な六角形のガス雲の渦が観測されている。この回転する渦がなぜ円形にならずに六角形になるのかという現象はいまだに謎である。

地球から最も遠い距離に達した探査機ボイジャー1号

1977年に打ち上げられたボイジャー1号は木星をフライバイした後に1980年に土星に最接近した。土星表面までの距離は124000kmである。ボイジャー1号の主な目的は土星のの大気、環、衛星の観測である。多くの写真撮影をして土星の環の複雑な構造を解明している。

ボイジャー1号の当初の目的はガス惑星である木星、土星、天王星、海王星を調査することであったが土星探査のあとは進路を変えて太陽から遠ざかる軌道に入っている。現在も飛行中であり太陽から230億kmは離れており、太陽風が銀河系の磁場と混ざり合うヘリオポーズという境界面にも達している。

ボイジャー1号の姉妹機 ボイジャー2号

1977年9月にボイジャー1号が打ち上げられているが、実はその16日前には姉妹機のボイジャー2号が先に打ち上げられていた。ボイジャー1号の不具合の調整に時間がかかっていたため2号が先に出発となった。

1号は土星に到達したあとは計画していた進路とは異なり太陽系を離れるかたちになったが2号は土星に到達したあとは天王星と海王星にも接近している唯一の探査機となった。

2号は木星では大赤斑という高気圧性の巨大な渦が反時計回りに回転していることを確認し、新たな衛星アドラステアを発見している。土星では大気観測、温度、密度分布観測をして上層部と下層部の温度と密度の違いを明らかにしている。

その後1986年には天王星に接近して環・衛星・大気・磁場の観測をしている。天王星の環は土星の複雑な構成の環とは違い、木星同様に比較的単純な構造であることを確認している。そのため土星の環の構成がいかに不思議で謎が多いかが良くわかる。

1989年には海王星に接近して大気・衛星・環の観測を行っている。海王星にも大暗斑という渦があることを確認している。

その後は1号同様に太陽系から離れる軌道で飛行して現在もNASAのディープスペースネットワークという深宇宙情報網により信号を受信している。

2号も1号と同様に地球外知的生命へ地球人の存在を伝えるための金属盤である「ゴールデンレコード」が搭載されている。

初の土星周回軌道オービターとなったカッシーニ

1997年アメリカ合衆国と欧州宇宙機関とイタリア宇宙機関の共同事業で開発された土星探査機「カッシーニ」が打ち上げられた。カッシーニの名称はイタリア出身でフランスの天文学者であり、土星の4つの衛星や環が複数で構成されていることを発見した「ジョヴァンニ・カッシーニ」に由来する。

カッシーニは打ち上げ後、金星、地球、木星をスイングバイすると2004年に土星の周回軌道に達し初めての土星周回軌道を飛行し続けるオービターとなった。

カッシーニは土星を206周も回って数多くのデータの収集を行っていて大変貴重な発見を得ている。その中でも新たな7つの衛星や環の発見や観測はとても興味深い。例えば衛星エンケラドゥスの地下には大規模な海が存在する証拠をつかんでおり、これによりエンケラドゥスには微生物が存在する可能性が高まった。衛星タイタンには地球のように雨が降り川が流れ湖や海が形成されていた痕跡を発見。また土星の環は活動的であり形状が年代を経て変化していることを確認。土星からの電波は従来考えられていた内部の回転とは関連性がないことを確認。土星の北極には六角形の摩訶不思議な渦が形成されていることを発見など土星周辺では生命が存在するまたは存在していた可能性が大きいだけでなく、電波発生の謎、六角形の渦など従来の考えでは理解できない現象を確認している。

ちなみに環の形成は大変興味深いもので、ノーマンバーグラン博士は環の形成には地球の数倍の大きさの宇宙船のようなものが副産物として排出したものにより形成されていると公表している。そのことについては著書「Ringmakers of Saturn」に詳しく記載されている。

カッシーニは多くのデータを収集すると2017年に土星の大気圏に突入して運用を終了した。

土星探査のまとめ

・土星探査はアメリカ合衆国の単独調査と欧州宇宙機関とイタリア宇宙機関との共同事業の計4つの探査機によるものしか行われていない

・土星の衛星には大規模な水の痕跡があり生命が存在するまたは存在していた可能性が高い

・土星では不可解な現象が多く発見されており特に環の形成は活動的であることが分かっていて、形成している何かが存在することも示唆されている

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